皆さん、こんにちは。皆さんは、日本に来て、一番印象深いことは何でしょうか。私は、自分の身より人の身について思うこと、相手の立場や気持ちを理解しようとする日本人の心をしみじみ感じて、すごく感動しました。
実は、中国語でこのような言葉もあるのです。それは「将心比心」です。残念ながら、皆さんご存じのように、中国社会ではこの言葉についての実践力は十分ではないという印象を受けます。ですから、この点に関して、中国は日本に学ばなければならないと思っています。
何があっても、他人の気持ちを察して、他人の身になって考えることが大切だと思います。これこそ、思い遣りの心というものではないでしょうか。
私が住んでいる寮ラビアン中野にこのような貼り紙があります。「ごみの出し方に、ご注意願います。みなさんがお出しになったごみは、清掃車の中に圧縮しながら積み込んでいきますが、積み込み作業中に事故が発生することがあります。生ゴミの水気を切っていなかったため、汚水が通行人にかかってしまいました。油をそのまま出していたため、清掃職員が油を頭からかぶってしまいました。スプレー缶にガスが残っていたため、清掃車の中で発火し、清掃車が燃えてしまいました。割れたガラスがそのまま入っていたため、清掃職員が手にケガをしてしまいました。これらの事故を防ぐため、出すときに気をつけていただきたいゴミの出し方をまとめました。そして、ゴミの分別を徹底してください。清掃の人が未分別のゴミを再分別しています。再分別に時間が掛かり、困っております。分別の徹底にご協力ください。」という内容です。所々で相手の立場や気持ちを理解しようとしています。
また、エスカレーターに乗る場合は、みんな左に沿って立ち、急いでいる人は右から通ることができます。それから、、電車でこのようなアナウンスをよく聞きます。「東京メトロ東西線をご利用いただき、ありがとうございます。お客様にお願いいたします。優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください。それ以外の場所では、マナーモードに設定のうえ、通話はご遠慮ください。ご協力お願いいたします。」
いつでも、どこでも、思い遣りの心があれば、周りの人の心も暖かくなると思っています。こんなに冷たい社会で自分のわずかな手まで他人のこころを暖められるのはどんなに美しいことでしょう。実は、思いやりの心は人間関係の潤滑油として役にたっています。それが暖かい社会を生み出す原動力につながるのではないでしょうか。
日本に来て、このような思い遣りの心に気づいてからは、私は、夜遅くなると、自分の寮でも声を小さくするようになりました。大声を出したら、他人がくつろいでいる時に迷惑をかけるに違いないと考えるからです。
アルバイトを始めて、いろいろわからないことがあった時、マスターは私に「あなたがこれとそれすら区別できなかったら、お客様に迷惑をかけますよ」と言いました。ですから私は、お客様のために、また自分のために一生懸命メニューや飲み物の作り方を覚えなければいけないと思っています。
ある歌手はこのような歌を書きました。「心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える。思いは見えないけれど、思いやりは誰にでも見える」。思い遣りの心は、人と人の間の深いつながりとなると思っています。ですから、みなさん、思いやりの心で生きてゆきましょう。